今年度、これまで11回開催してきた 帰農者セミナー 。
参加者皆さんの日頃の行いが良いおかげ(?)で、これまでは雨で圃場に出れないことはなかったのですが、この日は朝から雨。
10時過ぎには雨は上がるとの天気予報を信じて、セミナー開始。
今回の参加者は12名で、そのうち初参加の方が1名。お二人ほど少し遅れるとの連絡がありましたので、時間で始めました。
本日のスケジュールは、
9:30~ 開講並びに日程の説明
9:45~ 座学:本日の実習について
10:30~ 座学:有機栽培講座その8「病害虫防除」
11:10~ 実習:ふれあい農園にて
「播種」大根、野沢菜
「片付」トマト、ゴーヤ、バジルなど
「収穫」落花生、夏野菜、タカノツメ
※途中、昼食(各自)休憩
15:30~ 質疑応答・アンケート記入・次回案内・解散
の予定でしたが、昨夜からの雨で圃場がかなり濡れてしまったので、播種は見送ることに。
まずは先生の講義。
開講前に参加者との間で話が出ていた「タマネギは種から育苗するか、苗を買った方がよいか」についてお話がありました。
数量による経費の比較や圃場での苗の育て方、手作り播種器の紹介、苗まで育つ割合、または苗の選び方など関連することも交えて盛りだくさんの内容となりました。
本には載っていないことが学べる 帰農者セミナー
お茶の缶を使った播種器や、畝に筋をつけて播種すると水をかければ覆土できちゃう方法、稲わらがない場合に籾殻を代用して乾燥を防ぐ方法、種が雨で流れてしまうのをヌキ板を使って防ぐ方法などなど、本には載っていないようなことがたくさん。
参加者みなさんも質問が止まらず、本題(今日の予定していた作物)のダイコンと野沢菜、落花生の話に入るまでしばらくかかり、本題に入っても、播種時期による生育の違いや品種ごとの特徴、シンクイムシの話と多岐にわたり、1時間を超える講義となってしまいました。
いったん休憩をはさみ、午前中第2部の有機栽培講座「病害虫防除」。
まずは病害虫の被害が起こる3条件を学び、この要因を取り除く防除の大原則や、地域の気候、栽培の時期、土づくり、肥料の使い方などを考慮すること、マルチの種類や効果、虫によって防虫ネットを選ぶことなど、こちらも基本から非常に実用的な話までためになるお話でした。
第2部の途中、参加者から、土壌がどういう状態か調べるにはどうしたらよいかという質問が出て、これには先生が回答。農協で行っている土壌診断について紹介。サンプルの取り方や費用、診断でわかるpH(酸性度)やEC(肥料濃度)について説明してくれました。
作物によって適したpHやECのバランス、その調整の仕方など少々難しい話でしたが、中でも栄養生長と生殖生長の話は、実に興味深いものでした。
栄養生長と生殖生長のどちらを促進させたらよいかの判断、その促進を切り替える方法、肥料濃度が高すぎると逆に成長が抑制される、雨の降った翌日が晴天の場合は葉が萎れてるからといって水をあげたら逆効果になること、そしてそれらの理由をわかりやすく先生が解説。
葉が萎れてても水をあげてはいけない場合ってのもあるんですね~。
思い返すと、畑の管理をやっていて、「何で昨日雨降ったのに葉っぱが萎れているんだろう」というときが確かにあり、まさに目からウロコのお話でした!
理由が聞きたい人はぜひ 帰農者セミナー に。
午前中は雨で圃場に出れない分、いつも以上に濃い内容の講義となりました。
お昼になっても雨は止まず、圃場での作業は無理かと思われましたが、南西の空を見ると少し遠くに晴れ間が!
お昼を食べ終わるころには、ほとんど雨も上がり、午後からは圃場へ。
本来、雨の後に圃場に入るのはNGですが、日程の決まったセミナーの場合、そうも言ってられないので圃場で作業します。
だいぶ圃場がぬかるんでしまっているので落花生とナス、ピーマン、空心菜の収穫と肥料不足の作物への追肥、バジルの片づけのみ行いました。オクラはそのままにして種を取ります。
落花生の上手な抜き方、簡単な実の外し方、未熟と過熟の見分け方、効率よく洗える方法など圃場での実習でも本には載っていないことが次々と。
本日の収穫物!
落花生は出来の良い株でも取れたのが60粒くらいだったので、昨年よりちょっと収量が落ちたかなという感じでしたが、参加者のお土産分は何とか確保できました。
そして追肥などの管理作業では早速講義が生きます。葉の大きさや色、側枝の長さ、生長点の色や形で作物の状態を判断し、土の状態、翌日の天候、どちらの生長を促すかなどを考えて作業をします。
参加者も講義で得た知識を作業することでかみ砕いて経験にしていき、「非常に“収穫”の多い一日」だったとのお声もいただきました。
にしても先生方はパッと見て次々と判断していましたが、改めてその膨大な知識とすさまじい経験値に驚かされます。
開発工房見学
作業を終えて、セミナー室に戻ると、今度は同じ建物内にある開発工房の見学をさせてもらえることに。工房のサポートスタッフの方に機械の説明をしていただき、なんとその日に試作していた団子まで試食させてもらいました。
とってもおいしかったです!ごちそうさまでした!
見学を終えて、セミナー室に戻り、落花生の実物を見ながら、未熟、過熟、適期の見分け方、さらには作物ごとの適したpHのおさらいをして講義は終了。
ちょうど落花生も茹で上がったので、お待ちかねの試食タイムに。
大粒の「おおまさり」、とれたて茹でたてはホクホクで絶品。おいしいものを食べると自然とみんな笑顔になりますね。
ちなみに収穫したもう一つの品種「さとのか」は、2月に仕込んだ味噌がもうすぐ熟成するので、乾燥させて「みそピーナッツ」を作る予定です!
味噌づくりの回はこちら⇒畑の作業も味噌づくりも、オリンピックも≪ふるさと鴨川通信No.134≫
試食しながら、雑談交流会。そこで農業大学校の就農準備講座を受講したという参加者に、その感想や内容をお話していただいたりもして、あっという間に終了時間。
野菜づくり ってほんとに奥が深いなぁと感じる1日でした。
その奥深さをいろんな意味で味わえる農的生活にご興味ご関心のある方は、セミナーへのご参加お待ちしております!
移住のご相談もセミナー後にやったりしています。
お申込み、お問い合わせは鴨川市ふるさと回帰支援センター事務局(04-7094-4600 又は info@furusato-kamogawa.net)まで!
日程や詳細はこちらをご覧ください!⇒パンフレット
最後に参加者のご感想を紹介します!
・土のPH、ECについて勉強になりました。
・たまねぎの播種のやり方がわかりやすく、将来やってみたいと思った。病害虫防除の講座でやはり農業には農薬が必要なのだと。無農薬の道は大変だと改めて感じさせられた。
・落花生の収穫。はじめてやりました。おもしろかったです。空心菜、わき芽が出るんですね。茎がおいしいと教えて頂きました。
・PH、EC、この2つの事はこれからの農業をするのにたいへん役に立ちそうです。
・落花生の未熟、過熟の見わけかたを学んだ。
・タマネギ、ダイコンの播種のやり方、畝の作り方、肥料・石灰のやり方は参考になった。
・PHの再確認。
・たまねぎの種のまき方。土壌検査。
・タマネギの苗づくり。特に土に播いたとき判るように黒い種を白くしておく。播種後、乾燥防止でモミガラ敷き。
Q2.セミナーで得たスキルを実際に試してみたエピソードを教えてください。(または試そうと思っていることでも・・・)
・畑を盛った時に、JAで土壌検査をやってみたい。
・いろいろな野菜をつくってみたい。
・土壌検査、一度やってみようかと。
・簡単に落花生の実を選別したり実の取り方を教えてもらい、これからやってみたい。
・土壌検査をして、肥料の量やpH調整をしたい
・タマネギの育苗、来年チャレンジしたいと思います。
・セミナーは3時頃に終わらせたらどうでしょう?あまり長いとダレてしまう。
・午後から晴れて農場へ。落花生の収穫、今晩が楽しみです。
・理解しやすかったです。
・今日は参考になることが多かったです。本にはない事の多い日でした。
・来年ラッカセイ栽培で千葉県新品種の“Qなっつ”にチャレンジしたらどうでしょう(10/21アクアラインマラソンで試供品を用意され新品種アピールされるそうです)
2018年09月27日